僕はお前でお前は僕で

※死ねたです。
苦手な方は閲覧しないことをお勧めします。
女装要素は少ないです。

【僕はお前でお前は僕で】

━薫…私ね、薫のこと好きだよ━

━僕も琴のことが…━


目の前に広がるのはアカい水溜り。
腕に抱きしめた大好きな人は真夏なのに、熱くなる事はなくどんどん冷たくなっていく。

「琴…?」

名前を呼んでも反応はない。

どうしてこんなことになってしまったのか、考えれば考えるほど頭の中が混乱してきて何も考えられなくなる。

だって…。
朝はいつもみたいに一緒にご飯食べて笑ってたのに、帰りが遅いから心配になって通学路を探してみたらボロ雑巾みたいな洋服を身につけて琴が地面に転がっていて…。


僕の周りがザワザワとしていて、人が集まってきたことが分った。
でも、可愛い妹がこんな姿でいるところを誰にも見せたくない。

「君、大丈夫か?」

誰だか分らないけど、男の人が僕の肩を掴んで声をかけてきた。

僕に触らないで…

琴を見ないで…・

『ぅ・・・』

「?」

『…うぁぁあぁああぁぁぁぁぁああ!!』

もうわけが分らない。
誰も僕らを見ないで欲しい。
誰も僕らに触れないで欲しい。

見つけたときはボロ雑巾みたいに汚かった琴の洋服が、今は綺麗だった白い肌に真っ赤な衣を羽織っているように見える。

それが最後に見た琴の姿だった。





僕は気を失ってしまったのか、気がついたら自分の部屋のベッドで寝ていた。

『琴…』

あれは夢だったんだろうか?
夢であって欲しい。

琴が居ない世界なんて僕はいらないんだから。

僕たちは二人で一人だろ?


まだ完全に覚醒しきっていないのか、頭が重たい気がするけれど僕は部屋から出て琴の部屋へ行こうとした。

でも…

もしもさっき見たものが夢じゃなくて現実だったとしたら?

もし現実だったとしたら僕は耐えられるだろうか?
現実を受け止めきれるだろうか?

そんな事を考えていたら怖くなって、琴の部屋のドアをノックするのをやめて自分の部屋へ戻った。

『琴…』

まだ現実だと決まったわけでもないのに、僕の目からは涙が出てきて止まらなかった。

今すぐにでも琴に会いたい。

いつもみたいに喧嘩して、言い合いになって、それでもいつの間にか元通りで…

声が聞きたい。

ベッドの上に置かれている携帯に手を伸ばして、アドレス帳の琴の番号を出す。

携帯にかけたら出てくれるだろうか?

でも、もし出てくれなかったら?

僕の中で不安は消えることはなく、消えるどころかどんどん増すばかりだ。

今すぐ琴に会いたい。
でも、琴がいなかったらと思うと怖くて行動に移せない。

どうしたらいいのか分らなかった。

「薫…父さんだ、入ってもいいか?」

携帯を握り締めてただベッドの横に立ち尽くしていた僕に父さんが呼びかけてきた。

「薫…?」

『父さん…琴は…?』

僕は父さんに琴が今どうしているのかを聞いた。

「…薫…入るぞ…」

ガチャ━

僕の部屋のドアが開く音がした。

「薫、ちょっと下に来なさい。」

『何で…?』

「いいから」

そう言うとじっと動かずに父さんの声を聞いている僕の腕を掴んできた。
僕は何故か下には行きたくなかった。

下に行ってしまったら、何かが壊れるような気がしたから。

『……な…して…』

「薫?」

『放して…』

「…」

父さんは一層僕の腕を掴む力を強めた。

『放してって言ってるの!!!!』

「っ!?」

僕は掴まれた腕を無理やりはがそうと力いっぱい振り回した。

「落ち着きなさい!」

『嫌だ!放して!』

「薫!!」

『助けて!!助けて琴!!!!!!』

僕は泣きながら琴の名前を叫んだ。
すると、掴まれていた手が放れて、僕の腕は力なく垂れ下がった。

「…待っているから、下にきなさい。いいね。」

顔を見たわけではないけど、父さんの声は少し震えていた気がした。

僕の部屋を出て行く音がして、まだ止まらない涙を洋服の袖で拭きながら、机の上においてある写真たてを手にとって抱きしめた。

写真の中の琴は僕と同じ顔で、いつもみたいにとびっきりの笑顔だ。

『琴…僕は…お前のことが…』

━好きだ━

写真たてを強く胸に抱いて、僕は行きたくなかったけど、下に行くことにした。

下に行くのは琴の部屋によってからだけど。




『父さん…』

「薫…?」

下に下りると父さんと母さんが鼻をすする音が聞こえた。

二人は僕のほうを向こうとはせず、ただソファーに座って俯いていた。
きっと、現実に起こったことに悲しみ泣いているのだろう。。

『琴は…どうしたの?』

「琴は…」

母さんは涙が溢れて言葉が続けられないようだ。

二人は悲しんで泣いているけど、僕はさっきまで琴の事を考えると凄く怖かったのに、今は全然怖くない。
悲しくないわけじゃないけど、もう涙は出なかった。

「…薫…!?」

父さんが僕の方に振り返って名前を呼んだ。
そして、驚いたような顔をして涙を流すことを忘れたかのように、ただ僕から目をはなせないでいる。

「薫…何…してるんだ…」

『僕はもう薫じゃないんだ。』

「…」

『僕はさっき、薫を捨てて琴になったんだ。』

僕は下に降りてくる前に琴の部屋に行った。
そして、琴がいつも着ていた洋服を着た。
僕たちは双子だし、性別は違っても同じものを分け合って生まれてきたんだ。
だから、僕にも少しは琴と同じものが入っているはず。
だから…
僕は薫という自分を捨てて、双子の琴になったんだ。

「ふざけるんじゃない!」

父さんは僕を怒鳴りつけてきた。
それでも僕は何とも思わなかった。

『ふざけてなんかないよ。それに僕は…』

「いい加減にしなさい!!!」

━バシッ

僕は言い終わる前に父さんに頬を叩かれた。
叩かれた頬は少し痛かったけど、でも薫に対しての痛みは無かった。
だって、僕はもう薫じゃないから。





母さんは僕の姿を見たとたんにさっきよりも声を上げて泣いていたけど、僕はそんな事気にしなかった。

父さんに「自分の部屋に戻りなさい」と言って薫が今まで使っていた部屋へ入れられた。

━僕の部屋はもうここじゃないのに━

そう思いながらベッドの端にそっと腰掛けた。

僕はもう薫じゃない。
薫はシンだんだ。

だから、僕はお前の代わりに…

━琴として生きていくんだ━


END



【あとがき】

物凄く暗い内容ですみません!!
それから、女装要素少なくてごめんなさい!!

えーと…
一応のみこの中で薫と琴の設定は、一卵性の双子で高校1年生位かなって感じです。

てか、双子って一卵性でも男の子と女の子の組み合わせで生まれてくることはあるんでしょうか?
同姓で一卵性の双子っていうのは知り合いに入るんですけど、異性で一卵性の双子っていうのは見たことが無くて、はたしてこの文章は大丈夫なんでしょうか?

それから、本文の後半で「下に行ってしまったら、何かが壊れるような気がしたから」って部分があるんですけど、どう考えても壊れてしまったのは薫の精神ですよね…

まぁ壊れるように書いたのはのみこですが…笑っ

自分に文才がなさすぎて、本当にどうやって書いたら読んでくれる人に楽しんでもらえるのかって考えると、自分が書く文章は何を書いても同じ気がしてくるんですが、少しでものみこが書いた文を読んでなにかしら思ってもらえれば嬉しいです。

て言っても今回の文は楽しめるようなものじゃないですよね…笑っ


Byのみこ

女装娘×NH×NAVI☆

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